押入の影響 |
押入はパッシブラジエータの吸音器
標準模型にHOTEIの部屋の押入部とそれを標準模型に装着した様子を撮影したのがPHOTO3-4Aで、その伝送周波数特性がFig.3-4Bです。
標準ルーム模型に押入を装着(写真左)
前ページの標準模型の伝送周波数特性(Fig.3-3A)と比べると明らかにモード(1−0−0)のピークがつぶれて見えます。側壁、天井などの入れ替え測定では多少の違いは見られましたが、これほど顕著にピークが無くなることはありません。これは、HOTEIの部屋の模型で見られる現象の原因がここにあることを示していると考えて良いでしょう。 さて、この原因を特定する考察を行ってみると、押入が一種の共振器となって、押入の戸はパッシブラジエータのように働いているのではと考えられます。
押入の中の空気のコンプライアンス(Co)と押入の戸の質量(md)による共振周波数を式で求めることができます(式は別コラムにまとめていますここをクリックしてコラムを参照してください)。 このことから、奥行きが2分の1の45cmになると共振周波数はルート2倍、つまり約1.41倍の40Hzになります。もちろん、押入の中にはいろいろな物が入っていますから(私自身の部屋ですからよく分かっています:HOTEI)、その結果として容積が減り共振周波数が高くなります。実際模型でもこの押入部に木のブロックやグラスウールなどを入れると、特性が変わるのを観察することができます。 今回は押入という大きな容積を持つものでしたので、特徴が顕著に現れましたが、この他オーディオルームによくある、ガラス戸付きのレコード、CD棚なども後面が完全にふさがれていますので、扉の質量とと中の空気のコンプライアンスの関係による共振が起きている可能性があります。また、扉は共振により振動をしますので、そこからの反射音はその周波数の変調を受けたものになることが十分に考えられます。 戸の質量、内部の空気のコンプライアンスが関係していますから、これを避けるには、HOTEIの部屋では押入を無くしてしまうか、戸の質量を十分に引き上げることが必要になってくるでしょう。(現実的には難しいので、今回はその対策は行っていません) *****
HOTEI ***** |