部屋の形状(2) |
壁が3つ以上の場合
fig.1-4Aは、平行の壁が二組、つまり四角形の部屋の平面図を表しています。元となる部屋は赤・緑・青の線で囲まれた部分になりますが、単純に書き表してもこれだけの反射音像が有ります(実際は吸音率にもよりますが、もっと多くなるでしょう)。もちろん、これを説明する前に3枚の時という部分の説明が必要ですが、もし部屋の下赤い壁(A)のない3枚の壁を想定すると、ちょうど図の赤い部分にある反射音像ができず、緑の部分はその反射音像なので存在しない、つまり、グレーの部分と、青い部分だけに反射音像があると見ていただければ良いわけです。 また、これを平面図と見ずに、立面図と考えていただければ、部屋の上下方向に展開する反射音像と考えることができます。このとき、床にカーペットなどを敷いているとすると、上述の「下側の辺が無いとき」に似て赤い部分と緑の部分の反射音圧が下がりますが、カーペットでは低域まで十分に吸音できないので、低い帯域ではこの図のような反射音像を形成することになります。 また、この部屋の前方をデッドにするという手法もスタジオなどでよく採用されていますが、それもこの図形に当てはめてみるとよく理解できます。前方の青い壁がデッドあると、その反射音である青い領域の反射音が弱くなり、また後方の2回目の反射も弱くなります。そうすることで、直接波と鏡像反射音源の音圧差が大きくなり、相対的に録音信号そのものの音が明瞭に聞こえますから、検聴用としては都合がよいということになります。 最後に通常の部屋のように対抗する壁が3組、つまり壁が立体的に6面ある場合をFig1-4Bに示します。かなり複雑になりますので、見にくいですが、上下左右前後に反射音像が発生している様子を表しています。
さて今までの説明には部屋の大きさを考慮していませんでしたが、すでにお気づきの通りこの手法では、おのおのの寸法を自由に大きくしたり小さくしたりと縮尺を変えて見ることができます。ということは大きな部屋ではおのおのの反射音像の距離が長くなるだけで、音像そのものの到達角度などは、部屋の形が同じであれば、音像のできかたは同じになると説明できます。 ただし、距離が長くなることでおのおのの反射音の到達時間が大きくなり、音のエネルギーの距離減衰がその長さによって加わりますから、たとえばスケールモデルの寸法に10倍の差があれば、到達する時間は10倍になり、そのときの反射音圧は20dB小さくなります。 もう一度まとめると、鏡像法を扱う上で、
ということを考慮しておく必要があります。 ***** HOTEI *****
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