はじめに

石井式リスニングルーム研究のぺージへようこそ


 今日のオーディオ機器はすばらしい発展を遂げ、大いに音楽ファンを楽しませていますが、しかしそのセッティングは機器が高度になればなるほど難しさも増してきています。特に家庭で音楽を楽しむためには、部屋の中でという条件が付いて回るものですが、その部屋の研究は未解明な部分が多く、正確な情報が少ないのが現状です。もちろん部屋のことを理解し、音響的に優れた部屋を構築すればすべての問題が解決するとはいえませんが、他のオーディオ機器同様、そのポテンシャルの高さが、高度な音楽再生を可能にさせる点では、やはり十分に配慮された部屋を持つことが有利であり、オーディオシステムとして重要な位置にあると考えることが必要であるといえます。


このページで紹介する内容は、石井伸一郎さんが長年研究を重ねてこられた、いわゆる大きなホールなどとは異なった、一般家庭におけるオーディオ再生のためのリスニングルームに関する様々な情報です。

オーディオ機器の性能をフルに活かすための室内音響学
 音響設計の必要性

 リスニングルームに必要な要素は遮音と調音です。いつでも好きなときに好きな音量で好きな音楽を楽しむためには、外部に音が漏れない充分な遮音が必要になります。遮音をしっかりと施した部屋ではスピーカから出た音は壁に当たり、すべて部屋の中に戻ってきますので、このままでは残響が多く好ましくありません。そこで適切な音響処理、つまり調音が必要になります。調音についてはこれまで残響時間だけが問題にされていましたが、最近は伝送特性の重要性が認識されるようになりました。

 残響特性の設計については古くから手法が確立されていましたが、設計は非常に手間がかかり、多くの経験を必要としていました。そしてリスニングルームのような小さな部屋に適用した場合、それぞれの反射波の周波数特性が問題になり、さらに響きの質が良くないという問題があることが判りました。そのうえ低音の伝送周波数特性についてはほとんど考慮されなかったため、期待した音の部屋にならない場合も多かったようです。したがってなんら音響設計をしていない、通常の部屋の方がかえって音が良いという皮肉な結果になることもあったのです。

 これに対してそれぞれの反射波がフラットで、響きが奇麗で設計の容易な石井式が提案され世界的にも認められ普及しつつあります。石井式によれば目的と好みに応じた美しい響きの部屋が容易に実現できるようになりました。ただ、発表当時は低音の特性については従来の方法よりは良くなることは解っていましたが、どのような伝送特性になるのかは、まだ造ってみないと判りませんでした。

 この低音の伝送周波数特性を考慮した設計法については、それまで確立された手法がありませんでしたが、最近の石井さんの研究によって、低域の伝送周波数特性を設計に盛り込むことができるようになりました。これにより低域の伝送周波数特性が良く、響きの美しいリスニングルームの実現がより身近になったといえます。

 これまでリスニングルームと言うと、その設計法が主体になっていましたが、専用のリスニングルームを持っている方は非常に少なく、大多数の方は通常の部屋で聴いています。そこでこのページではこれからリスニングルームを造ろうとする方だけでなく、専用ルームの改善を行いたい方、通常の部屋で聴いている方にも、役に立つ情報を提供していく予定です。また、この情報はオーディオだけではなく、ビジュアルも含めたホームシアターの音響設計にも十分利用していただけるものです。


 このページの記事作成は私(松浦)が行っておりますが、内容についてはすべて石井伸一郎さんの監修を受け、さらに新しい情報なども積極的にご提供をいただいております。その一部では刊行物などによる発表を待たねばならない物も有りますが、出来る限り新しい情報を、早くお届けすることを目指して作成に当たっています。

 なお、石井式リスニングルーム研究ページのご利用に先立ちお願いのページを設けておりますので、必ずお読みいただけますようお願いいたします。


Special Thanks!
 当ページ作成にあたっては以下の皆様に多くの協力をいただいております。ここにご紹介、感謝いたします。

 記事内容の提供と監修を行ってくださった 石井 伸一郎さん
 サイト開設にご尽力いただきました、ritomoさん
 @nifty:FAVシステムオペレータ 持田 満明さん
 @nifty:FAVメンバーのみなさん
 そのほか、ご協力いただいたすべてのiみなさん


松浦 正和(HOTEI)
Oct.1.2000

 

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