FAQ よくある質問

 本サイト宛にいただいたよくある質問を本ページにまとめてみました。
Q1 石井式リスニングルームは体験・見学できるでしょうか?
Q2. 新築(リフォーム)を考えていますが、石井式リスニングルームの設計依頼は可能でしょうか?
Q3. 定在波を根本的に解消する方法はありますか?
Q4. ルームアコースティック用対策グッズの使用について
Q5  左右スピーカーの斜め配置法について
Q6 標準スピーカー方式の新測定法について NEW!
Q7 測定用スピーカーはなぜコーナーに置くのか? NEW!


Q1:石井式リスニングルームは体験・見学できるでしょうか?

A1:
 石井式リスニングルームはすでにいくつか存在しますが、残念ながらそのほとんどが個人のお宅となっていますので一般公開はできません。また、本サイトで何度もご紹介している松下電器産業株式会社テクニクスの試聴室も社内施設ですので、原則的に一般公開はされていません。

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Q2:新築(リフォーム)を考えていますが、石井式リスニングルームの設計依頼は可能でしょうか? 

A2:
  すでにいくつかのご依頼に基づいてリスニングルームの設計をお手伝いさせていただいております。まずは、本サイトまでメールでご相談ください。状況をお聞きした上で対応方法を検討させていただきます。

 本サイトへのメールはこちら

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Q3:サイト内の説明を読んでリスニングルーム内で再生音に様々な影響を与える定在波の存在は理解できましたが、その影響を根本的に解消する方法はあるのでしょうか?

A3:
 通常の部屋を使用する以上、定在波の影響を無視することはできません。影響を排除することができるのは無響室だけということができますが、もちろんそれは現実的な選択ではありません。

 また、吸音処理などで定在波を抑え込むことは可能であるかというご質問ですが、定在波の影響を抑えこむというレベルを目標にすればやはり無響室レベルの処理が必要になると思われます。対向した壁の平行を崩すという手法も、フラッターエコー対策には効果的ですが、低域伝送特性には効果的な手法とは言えません。

 このように説明すると、八方ふさがりのように感じられるかもしれませんが、決して悲観的になることはありません。実際には定在波の性質や部屋の条件などを考慮し、部屋に合わせた適切な場所にセッティングを行なうことにより、多くの部屋で素晴らしい音楽再生を行なうことが可能です。


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Q4:室内音響用対策グッズが多く市販されていますが、これらの中で特に効果が認められるものはありますか?

A4:
 ルームアコースティック対策グッズについては、すべてを試したわけ(というか、数が多いので、すべて実験を行なうのはほとんど不可能です)ではありませんのでなんとも言えませんが、本サイトで説明している低域伝送特性を考えた場合、その波長が長いためそれなりのサイズ、規模が必要になってくると考えられます。

 特に低次の基準モード周波数での伝送特性を小手先の手法でコントロールすることはほとんど不可能といえます。したがって、市販の反射/拡散/吸音板の使用や、部屋のコーナーを重点的に吸音するといった対策では根本的な(低域の)定在波対策にはなりません。もちろん、こういった対策グッズで変化は認められますが、そのほとんどが中高域での変化として現われていると考えられます。そしてこの場合、中高域の変化が低域の聴こえ方にも影響を与えることがあると認識するのがよさそうです。

 では、その中高域を考えるとフラッターの解消や、壁の反射音の調整などはそれほど規模を必要としません。したがって対策グッズもそれなりの規模で大きな効果が得られると考えて良いと思われます。たとえばフラッターの対策などは対向する平行面を解消すれば良いわけですから、その場所にぬいぐるみを置くなどの作業で簡単に解消できます。このほか、カーテンや部分カーペットなども対策グッズに含まれ、市販の対策グッズも中高域の調整用に適したものが多いと考えられます。

 もちろん、カーテンやカーペットあるいは、対策グッズなどをいきなり購入するのではなく、毛布や座布団のように家庭内にあるもので実験を行ないその効果を確かめてから部屋のインテリアにあわせたものを購入すると失敗が少ないと思います。

 あと、ここで注意するとしたら、反射にしろ吸音にしろ決してやりすぎないことです。良い効果が現れた場合どうしても同一の手法に頼る傾向があり、結果的にやりすぎてしまったケースをよく見かけます。効果が飽和状態になる手前でうまくコントロールすることが音質上あるいはコスト上非常に大事なポイントになってきますので、しっかり判断するようにしましょう。

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.Q5:あるオーディオショップのサイトで、左右のスピーカーを結んだ線とその背後の壁面が平行にならない設置方法が解説されていました。この方法だと平行設置時に比べ定在波を減少できると感心したのですが、音響特性の左右でのばらつきなどが心配となります。この点はどのように考えればよいのでしょう?


A5:
 左右スピーカーを結んだ直線とその背後の壁面を平行にしない設置方法(以下便宜的に斜めセッティングと表現します)は、非常に興味深い手法だと考えられます。

 まず、2つのスピーカー配置の関係が部屋に対し斜めになることで、部屋の形によっては2つのスピーカーとリスニングポイントの3点を結んだ三角形が、平行セッティングに比べより大きく確保できる可能性を生み出し、結果的に再生上のメリットに繋がる場合が考えらます。

 また、ご心配の左右のばらつきは、理屈から考えてもたしかに左右のスピーカーで伝送特性が異なると予想できます。ただ、通常の部屋で左右の特性がきれいに一致していることは珍しく、低域伝送特性に限っていえば、それがつごうよく左右のスピーカーで欠点を補いあう方向になる場合も考えられ、決してそれがまずい手法だとは断言できません。


 あと、ご質問の中で少し気になる部分があります。それは、斜めセッティングを採用しても定在波を抑えることにはならないということです。

 斜めセッティングで設置した2つのスピーカーから基準モードとなる周波数を同時に発音したとき、壁までの距離が双方のスピーカーで異なるため、それぞれの音声のあいだで到達時間にズレ(一種の位相遅れ)が生じます。そのズレがあるために、2つの波の間でうち消し作用がはたらき結果的に定在波が解消される、あるいは抑えこむことができそうに思える、というのがこの話の落とし穴です。

 この答えは「低域伝送特性編:定在波」のページにある「Fig.2-2B・位相遅れの波を足した場合」のグラフをご覧いただければ理解できます。このように位相遅れの波が加えられても、実際には定在波が無くなることはなく、それどころかその波が加わった分、振幅が増大しているということが分かります。

 つまり、定在波を発生する同じ周波数の2波に位相ズレがあっても、それぞれ単独の波が発生させる定在波の状態は同じ形になるため、結果的には2波のエネルギーを合成した分だけ振幅は大きくなり、決して解消する方向にはならないということです。

定在波(位相遅れあり)動画グラフ
Fig2-2B

 *****  HOTEI  *****
Jan.19.2003


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