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針圧計の更新

 レコードプレーヤーの利用者にとって針圧計は非常に便利なアイテムです。針圧は基本的にトーンアームのカウンターウェイトの目盛りで確認できますが、入念に調整するときや調整後の針圧を正確に記録しておきたい時は、針圧計を使うのが一番です。これまで使ってきた針圧計はレコードを楽しまれる方なら一度は見たこともあるタイプで、15年以上使い続けて来ましたが、つい最近バッテリーの蓋が壊れてしまい、本体の機能は大丈夫ですがバッテリーが落ちてこないよう粘着テープで固定するなど不便な状態になっていました。そこで、新しい針圧計を物色していましたが、良さそうなものを見つけましたので、以下にレポートします。

Neoteck NTK158

 今回購入した針圧計は、Neoteck NTK158です。Neoteckについて調べてみると、中国の計測器専門メーカーのようで、サーキットテスターなど様々な計測器を製造しているようです。メーカーサイトを見ると、私がこれまで使用してきた針圧計(以下従来型)もまだラインナップされているようで、日本ではいろいろなブランドで販売されていましたので、これらの製品はNeoteckがOEM生産していたのではないかと思います。針圧計はアームのセッティングやカートリッジ交換時にのみ使うので、使用頻度は少なく本機のように安価な製品があるのは助かります。

 Neoteck メーカーページ(英語) https://neoteck.cn/


Neoteck NTK158
入手はこちらから

 NTK158の形状は左に表示部、右側に計測トレイで従来型のスタイルを踏襲しています。本体サイズは、横幅95o、奥行45o、高さ13oと従来型に比べ少しコンパクトになりました。計測範囲は0.005g〜100gと幅広く、これなら針圧だけでなくカートリッジ本体の重量も計測できそうです。ディスプレイはバックライト付き5桁表示。計測単位をグラム(g)やオンス(onz)など複数選べるようになっていますが、針圧計として使用する限りグラム表示のみでの使用になりそうです。操作は従来型の物理ボタンからタッチパネルになり、設定項目は少し増えていますが、校正操作など基本部分は従来型と同様の操作となっています。また、オートパワーオフは従来型が120秒固定でしたが、パワーオフ無しから最大300秒までの変更が可能になっています。


左がNTK158、右が従来機

 バッテリーは単4一本使用となり、従来型のボタン電池から変更された点は地味にうれしい仕様です。従来型のボタン電池はLR43型で、いざという時のため交換用を用意しておく必要がありましたが、単4電池なら手元のリモコンなどから一時的に拝借することも可能です。本体の電池カバーは小さいため万一壊しても、本機の場合カバー無しでも電池をホールドしてくれるので、万一のカバー破損でも使用には問題はなさそうです。

 付属の専用ケースは金属製で140o×82o×15o。少し厚みのあるスマートホンのようなサイズです。本体、校正用ウェイト(20g)、バッテリー、計量用トレイ(?)が収められており、出張でプレーヤー調整を行なうような場合にも便利です。計量用トレイはおそらく液体や粉末などを測るときのためのものだと思いますが、使用目的が針圧の計測ですから、使う機会はまずないと思います。


専用ケース
本体、単4電池、20gウェイト、計量トレイを収納

 この他、付属の取扱説明書は多言語版知なっており、日本語ページも収録されています。内容は簡易なものですが、基本的な操作方法が確認できます。海外メーカーあるあるで自動翻訳で作成したのでしょう、少しおちゃめな日本語となっていますが、意味は通じるので困ることはないと思います。なお、メーカーサイトを確認してみましたが、取扱説明書のPDF版は見つかりませんでした。

校正を行なう

 使用開始に先立ってまずは校正を行ないます。校正手順は取扱説明書の記載と少し異なる部分がありましたので、実機で確認した手順をお知らせします。

1. 電源ボタンを押して「0.000」表示になるのを待ちます
2. もう1度電源ボタンを「CAL」と表示されるまで長押しします
3. 「CAL」表示の後すぐに「20.000」の点滅表示に変わります
4. 付属の20gウェイトを載せます
5. 「PASS」と表示されたら校正完了です

 取扱説明書では、テスト用のウェイトが100gとなっていましたが、付属するウェイトは20gで、実機の校正単位もデフォルトで20gとなっていました。なお、校正で使用するウェイトは設定で変更可能になっていますので、もし付属ウェイトと校正値が異なる場合は、10g単位で使用するウェイトに合わせることができます。

精度の確認

 校正操作の次に精度の確認を行ないました。精度確認には1円玉を使用しました。ご存じの通り1円玉はちょうど1gですので1枚ずつ載せていき、1g、2g、3gといったように表示されれば精度はほぼ正確であることが確認できます。実際に行うと、載せ方によってわずかに誤差が出ますが、きちんと真ん中に載せると誤差の無い表示になりましたので、十分な精度であると判断できそうです。


精度の確認のため1円玉を1枚ずつ載せていく
写真は3枚載せて3.000gの表示を確認

針圧の計測

 針圧の計測ではできるだけ正確に図るため、計測トレイの中心に針を落とすようにしましょう。また、計測時にインサイドフォースキャンセラーが働くと、針が引っ張られて最悪の場合損傷する恐れがありますので、インサイドフォースキャンセラーを無効化したうえで計測するようにしましょう。

 針圧調整は一度行うとしばらくは使わない、といったパターンも多いと思います。そこで、収納時にはバッテリーを外しておいた方が液漏れなどでトラブルの心配がなく安心です。

最後に

 レコードプレーヤーは水平調整はもちろん、アームの高さ、針圧、インサイドフォースキャンセラーなどの調整で音質や音色など聴き手の好みに合わせた追い込みが可能です。針圧に関してはできるだけ正確に記録しておきたいところです。針圧についてはトーンアームのカウンターウェイトの目盛りでも確認できますが、意外にこの目盛りの精度が甘い物の製品が多いのが現実です。正確性な針圧の記録やカートリッジのメンテナンス時の再現性を確保するため、針圧計を使用されることをお勧めです。

2025/11/30 HOTEI(松浦正和)

 
 *本稿でご不明な点、ご質問などございましたら「こちら」までご連絡ください。

 スピーカー位置の検討についてのご質問では、お部屋の写真を添付いただけると、イメージがつかめます。その際は正面、後方、左右、天井方向の写真とごく簡単で結構ですので、お部屋の縦横高さの寸法をお送りいただけましたら助かります。

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