ネットワークプレーヤー導入 |
昨年末からQobuzのサービスが開始され、ネット配信もいろいろと選択肢が増えてきました。AVアンプがネット配信に対応しているので、これを利用していろいろ試していましたが、今回メインシステムに組み込むネットワークプレーヤーを導入しました。
Blue Sound Nodeの導入 今回選んだのはBlue Sound Nodeです。私のメインシステムの核はAccuphaseのDP800+DC801のデジタルディスクプレーヤーで、音楽再生はこれを基本にシステムをチューニングしています。DC800は長年使用していますが、現時点でも十分通用する高機能DAコンバーターです。これを利用する前提でデジタル接続可能なネットワークプレーヤーを選択しました。 Nodeのセットアップは専用アプリから行ないます。iOS、Andorid、Windows、MacOSなどメジャーなプラットフォームに対応したアプリがメーカーサイトから提供されています。今回有線LANで接続しましたので、専用アプリでLAN内のNodeそ検出、すぐに接続できました。後は配信サービスやNASを登録すれば準備は完了です。なお、DLNAには対応していないので、NASの登録はネットワークパスを記述する必要があります。この際の注意点ですが、日本語環境で通常区切り文字は「/:スラッシュ」ですが、英語環境に合わせて「\:バックスラッシュ」での記述が必要なので、ご注意ください。これで音出しまでの設定はとりあえず完了したので、細かい設定は後回しにして、まずは音を聴いてみます。 DC800接続の効果を確認 配信サービスの設定が完了したらさっそく音出しです。ソースはQobuzとAmazon music Unlimitedから。最初に本体のアナログアウトから試しましたが、こちらはさすがに残念な結果で、解像度などは悪くありませんが、音に力がなく全体的に音楽の表現力が乏しく、メインシステムでの使用は厳しい感触でした。もちろん鳴らし始めですので、エージングで変化があると思いますが、さすがに期待値に届くことはなさそうです。
次は本命のDAC接続での演奏です。Nodeのデジタルアウトは同軸(RCA)と光(TOS LINK)の2種類あるのでまずは同軸から。これは第一声からかなりの手ごたえを感じさせます。最近システム調整時に使用しているFourplayのアルバムEsprit De FourからDecember Dreamを聴いてみましたが、解像度、音場の広がり、帯域バランスなどいずれもかなり高品位な再生となりました。この曲の配信フォーマットは44.1kHz/16bitのCDグレードなので、DP800とDC801の純正ペアでCDと比べましたが、音の厚みとSN感でわずかに劣るものの、DAC以降が同じ組み合わせで、システム全体はそれに合わせたチューニングということもあるのでしょう、音楽表現は大きな違いを感じることはありませんでした。 同軸の次は光接続です。結果は同軸接続とほとんど変わりはありませんが、光の方がSN感が良く全体的になめらかな質感です。接続方法としては同軸の方が優位性があるかと思っていましたが、私のシステムの組み合わせでは光接続の方が良さそうです。こちらも純正ペアのCD再生と聞き比べましたが、音の厚みやごく細かな表現力に関しては純正ペアの優位性が感じられたのはさすがですが、決定的な開きがあるとは言い切れず、価格差を考えると逆にNodeの能力がかなりのものであることがわかります。光接続での演奏時にも同軸ケーブルをつないだままでしたが、これをDACから外すことで、わずかながら音質の滑らかさが向上しました。これは、NodeとDAC間の電気的なつながりがなくなったからかもしれませんが、結果は機器の組み合わせ等でも違いがあると思います。 この後、SACDと配信でのハイレゾソースを聴き比べましたが、こちらはSACDの良さが際立つ結果となりました。配信だけで比べるとたしかにハイレゾの良さを実感できますが、ここでも純正ペアの良さが十二分に発揮されたのでしょう。もちろん、SACDはDSD、配信はFLACとマスタリング形式が異なるので、単純比較は難しいところです。 設置調整 音出しを一通り行ない、DC801を通した再生が想定を超えた結果になったことが確認できたところで、設置を含めた調整に作業を進めました。まず、Nodeの筐体は樹脂製で、底板部分が「ロ」の字型に成形された部分が簡易的な脚になっています。この形状では設置にガタが出ることが容易に予測できます。そこで、手元にあった滑り止めゴムを付けてみました。滑り止めゴムは比較的硬めのゴムで、樹脂成形された脚の内側に三点で貼り付けてみましたが、残念ながら変化はほとんど感じることができませんでした。また、ラックの棚板上で動かしながら設置位置もいくつか検討してみましたが、本体重量が軽いこともありほぼ変化はなく、脚の取付、設置場所などもう少し検討する必要があるかもしれません。
次に電源ケーブルにフェライトコアを装着してみることにします。DACへ同軸ケーブルで接続すると、若干の粗さを感じる部分もあったのと、NodeはコンパクトなPCと言えなくもありません。そこで、以前PCに使用していたエレコム社が販売しているフェライトコアを電源ケーブルにセットしてみたところ、はっきりと効果を感じることができました。音のバランスはそのままで、解像度、音場の透明感が確実に増します。音の粒子感がなめらかになり、残響の消え方も非常にスムーズです。ちなみに私のリスニングルームでは、石井式で設計させていただいた他のお部屋同様、オーディオ専用に設計した電源回路を採用しており、電磁的なノイズの低減能力はかなり高いのですが、それでもかなりの変化があることに驚きました。
ちなみにエレコム社が販売しているフェライトコアは中波帯野抑制に効くタイプで、最初はケーブルを挟みこむストレートで試し、その後ワンターンさせて聞き比べましたが、ワンターンさせたほうがより効果が感じられたことをご報告いたします。 Nodeの設定項目 最後に本体の設定項目の確認を専用アプリから行ないます。設定メニューからオーディオの項目を開くと「デジタルパススルー」という項目があり、MQAフォーマット時に、Node側で処理するかDAC側で処理するかの選択になりますが、今回はMQAソースは扱いませんので、デジタルパススルーは「ON」に設定しました。次に「オーディオクロックトリム」で、外部DAC使用時にクロックタイミングを調整する項目のようですが、DC800につないだ状態で、ON/Offの効果が特に感じられませんでしたので、とりあえず「OFF」で使用しています。演奏中のボリュウム操作をアプリ側から行なえますが、デジタルアウトを利用していますので、音量はアンプ側操作することとし、Nodeのボリュウムコントロールは「OFF」に設定しました。この他、オーディオ関係ではトーンコントロール、サブウーファーがありますが、どちらも使用していないのでOFF設定です。 ネット接続関連ですが、WiFi設定はプレーヤーメニューから、有線LAN接続は特に設定項目がありません。なお、IPアドレス関連では、DHCPのみで固定IPの設定項目はありません。そこで、ルーター側で固定IPを設定しました。設定に必要なMACアドレスは、設定項目の「診断」で表示、確認することができます。 QobuzとAmazon Music Unlimited 今回のソースは前述の通りQobuzとAmazon Music Unlimitedを利用しました。ソースによりますが、両サービスともに音質は良好で、同一タイトルでの音質は微妙に異なるものの、クォリティに大きな違いは感じませんでした。CDグレード、ハイレゾソースも双方同じようなタイトルが並んでいます。ざっと眺めた限りでは、クラシックタイトルはAmazonよりQobuzの方が充実しているようにみえます。なおAmazonですが、Prime会員特典のAmazon musicは伝送レートが最大320kbpsでMP3クラスの音質となり、CD以上ハイレゾ音質での配信を聴く場合は、Unlimitedサービスに追加加入の必要があります。また、機種によるアプリの違いだと思いますが、Fire Stick TVを利用すると、CD音質、ハイレゾ以外にDolby Atmosエンコードタイトルも聴くことができます。 まとめ ここまでNode導入の結果をお伝えしてきましたが、ネットワーク音楽配信で音楽を聴く楽しみを十分に感じることができたのは収穫だったと思います。確かにDP800+DC801の純正ペアでのディスク再生には一歩譲るものの、Node+DC801の再生も十分な手ごたえがあり、実際同じソースを聞き比べしてようやくわかる程度の違いしかありません。先にお伝えしたようにDC801以降の機器が同じで、この組み合わせで私の好みとなるよう調整しているシステムですから、音楽表現そのものの印象は非常に近く、油断しているとどちらでソースで演奏しているか分からなくなりそうです。 なにより音楽配信のライブラリ数は広大ですので、未知のアーティストや楽曲、リリース直後の楽曲に出会えるのはこれまでにない楽しみです。ネット配信で音楽が聴ければいいな、程度の動機で始めたのですが、良い意味での誤算かもしれません。もちろんDC801という強力なDACの存在が、望外の結果をもたらしたことはまっひがいないところです。まだまだ導入したてで調整の可能性も探っていきたいと思います。 2025/4/21 HOTEI(松浦正和) |
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