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ホームシアターのサウンドチューニング第6回 AVアンプ設定

 今回はAVアンプの設定についてですが、前回の積み残しで、先にサブウーファーの設置の紹介から進めます。

サブウーファーの設置

 マルチチャンネルの低域チャンネルを受け持つサブウーファーですが、役目はそれだけでなく、ホームシアターでは、壁付けなど比較的小型のスピーカーをサラウンドスピーカーに用いる場合が多く、それらの低域を支える役目も担っています。もし、部屋の条件で、スクリーンを短辺側に設置しなければならない場合、サブウーファーは、部屋の後方のコーナー近くに設置した方が低域伝送上有利になる場合が多くあります(理想寸法比に準じた部屋や、それに近い六畳サイズの部屋はその限りではありません)。また、メインスピーカーを長辺セッティングしている場合も、メインスピーカーの位置とサブウーファーの位置はかなりの確率で重なるケースが多いので、後方設置が有効な策となります。

 サラウンドスピーカーの配置などと同じで、いろいろな媒体で紹介されている各スピーカーの配置例が、各々の部屋でベストになることはまれです。容量の大きな部屋なら別ですが、個人のホームシアターでは低域伝送特性を考慮した配置が重要になります。上記の短辺側セッティングで、メインスピーカーの低域がうまく再生できない場合なども含め、サブウーファーの後方セッティングが有効に作用することは確実ですので、ぜひお試しください。


低域伝送特性を考慮して後方壁にサブウーファーを設置
図は1台使用の場合、2台使用する場合は、図の左後方がお勧め

 さて、後方コーナーよりとしたサブウーファーの設置調整は、サブウーファーも含めた状態で音楽を再生し、リスニングポイントで低域バランスがもっともよい位置を探します。ローパスフィルターはこの後AVアンプ側で調整するのでオープンとして、音量はとりあえず他のスピーカーとバランスする位置に調整しておきます。アンプ側の調整で必要になれば、サブウーファー側のボリュームで調整を行います。

AVアンプの調整

 AVアンプとスピーカーの接続に関しては第2回で説明した通りです。前回のスピーカーセッティングで調整が終わると、いよいよアンプ側のセッティングになります。まずは、各スピーカーの配置に合わせ、メインスピーカー、センタースピーカーの有無、サラウンドやハイトスピーカーの配置、個数に合わせて環境設定を行います。各スピーカーのサイズに合わせて大あるいは小といったサイズ設定も行います。小サイズのスピーカーに設定すると、アンプによっては低域のクロスオーバー周波数の設定が出ますが、ここではとりあえずは100Hzあたりに設定しておきます。

 環境設定が完了したら、次は大まかな音量設定です。通常テストトーンが出るように設定すると、音量調整のメニューでピンクノイズ等が再生されるので、それを基準に各スピーカーの音量が同じになるよう調整します。メインスピーカーをオーディオアンプで駆動する設定の場合は、オーディオアンプの入力をAVアンプからの入力に設定し、オーディオで演奏する場合より、少し大きめのボリューム設定位置を決めます。今後ビジュアル再生時のオーディオアンプのボリューム位置になりますので、目盛り位置、デジタル表示の場合はその数値になるよう、ボリューム位置を覚えておきます。

 ここまでの設定ができれば、次は細かい調整に入ります。AVアンプには自動調整機能がありますので、ここで自動調整機能を利用して設定を進めていきます。もし、オーディオでの調整経験を積んでいる場合は、すべてを手動で行う方法もあります。自動か手動かは経験値にもよりますが、慣れるまではまずは自動で行い、それを基準に手動で簿調整を行うというのが良いかもしれません。

 現在のAVアンプのほとんどは、各スピーカーとの距離、音量、周波数特性(伝送特性)の補正(イコライジング)を行いますが、少し前のAVアンプの場合、イコライジングを行わないモデルもあり、この場合は、自分自身でイコライジングを行うことになります。また、自動イコライジングには、メインとなるフロントL、Rをフラットとして、その特性を基準にサラウンドスピーカーのイコライジングを行うモードと、フロントメインも含んでイコライジングを行うモードの2つのパターンを持つモデルがあります。オーディオシステムをしっかりと調整されている方であれば、メインシステムの調整をそのまま活かせる後者のモードを選ばれるのが良いと思います。特に音楽ソフトなどでは、この方法がお好みに合ったサウンドをビジュアルでもそのまま楽しむことができます。このように自動調整もいくつかのパターンが考えられますので、ご使用中のAVアンプの機能をご確認の上、調整作業を行いましょう。

ファインチューニング

 ここからは自動調整を実行した後、あるいは完全に手動で調整を行う手順を紹介します。自動調整を行った場合でも、部屋の特性や聞き手の好みなど、ファインチューニングを必要とする場合があり、最後は聴感でより細かな確認と調整を行います。なお、AVアンプによっては、自動調整結果をメモリーできる機能がありますので、あらかじめ記録しておき、必要な場合は再度呼び出せるようにしておくと良いでしょう。

〇レベル調整

 まずは、各スピーカーの音量を合わせます。AVアンプ(以下アンプ)の手動調整項目の中にレベル(音量)調整の項目がありますので、ここで各スピーカーの音量がほぼ同じに聞こえるよう調整します。調整項目の中にテストトーンを開始する項目がありますので、テストトーンを鳴らしながら、各スピーカーの音量を合わせます。自動調整ではフロント、サラウンドなど左右ペアで音量が異なっている場合もありますが、手動調整では、ペアごとの左右音量は同じとしておきます。これはスピーカー設置時に各ペアでセンター定位をしっかりと調整していますので、最終的に左右のパターンを同じにしておくことが、最終的な調整で良い結果を期待できるからです。なお、この後の調整の都度、繰り返しレベル調整を行いますので、この時点では大まかに合わせるといった具合でも大丈夫です。

〇スピーカーの距離

 リスニングポイントと各スピーカーの距離を調整します。調整はメジャーを使う方法もありますが、できればレーザー距離計を用意できれば便利です。メジャーを使用した測定では伸ばしたメジャーの両端を二人で持つ必要があること、ハイトスピーカーは高い位置にあるため、脚立などが必要になることなど、少し手間が増えてしまいます。


レーザー距離計の例
長年使用しているので、現在はモデルチェンジ機が出ている
非常にバリエーションが増えているが、コンパクトなものが使いやすい
機種により測定最大距離が異なるが、通常の部屋サイズなら問題なることはない
入手はこちらから

 計測した値をアンプの距離調整の項目に入力します。自動調整で各ペアの距離が異なっている場合もあるかもしれませんが、音量と同じで各ペアの距離は左右で揃えておきます。基本的には計測で遠いほうの値に合わせておけば良いでしょう。なお、ファインチューニングでは、一度実測で合わせたこの距離データを、再度調整していきますので、あくまでここまでの手順は基準を作る作業になります。


リスニングポイントから各スピーカーまでの距離をAVアンプに入力する
基本的にペアとなる左右スピーカーの距離は同じに設定する
図の赤と青のラインが極端に距離が違わない場合は、
赤いラインを基準に入力を行う

 ここまでの作業が完了すれば、次はイコライザーの調整を行いますが、多くのアンプではパラメトリックイコライザーなどを装備していますので、次回その使い方から、実際の調整法まで紹介していきたいと思います。

2023/5/15 HOTEI(松浦正和)

 
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