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ホームシアターのサウンドチューニング第4回 HDMI

 ビジュアル関連の内容を書き始めて気が付きましたが、規格の進化速度が早く、新しいフォーマットだけでなく、旧来のフォーマットも織り交ぜながら書き進めていますので、下調べなど確認する内容もも多くなっています。更新が遅れ気味で申し訳ありませんが、よろしくお付き合いください。さて、今回はHDMIフォーマットについてです。

 ホームシアターで使用する伝送規格は、現状ほぼHDMI規格で伝送を行うのが標準といって良いでしょう。2Kから4K、8Kと映像フォーマットの進化に合わせ、HDMI規格もより高性能化をはたしています。基本的には伝送帯域の拡張により、映像の高精細化に対応を図っていますが、ARCなどの付帯機能の拡張も行われています。そのヴァージョンは数字が大きいほど新しい規格となっています。なお、送り側、受け側およびケーブルのそれぞれが最新ヴァージョンであれば、最新フォーマットの伝送が可能になりますが、どれか一つでもヴァージョンが低い場合、そのヴァージョンで保証された伝送性能に限定されることがあります。例えば、BDレコーダー、プレーヤー、AVアンプ、ディスプレイなどの機器が4K60p/444に対応していても、HDMIケーブルグレードが対応していない場合、そのケーブル性能の範囲内で表示される場合があります。
 また、ソース機器、プロジェクターなどが4K60p/444に対応しているが、AVアンプが対応していない場合は、ソース機器からプロジェクター等にダイレクトに接続する方法もあります。BDプレーヤー、レコーダーの一部には、映像・音声と音声専用の二種のアウトプットが設けられているモデルがありますので、AVアンプを経由することなく映像信号を出力することができます。ただし、この接続では、AVアンプのメニュー画面などを表示できなくなりますし、ソース機器が複数ある場合などは入力切替や一時的な接続変更などの手間が発生するのが難点です。


BDプレーヤーのHDMI出力端子の例
映像出力、音声出力の2系統を使って接続する場合の接続方法
映像信号の劣化を防ぐために、この接続を採用するケースもある

コネクター

 HDMIケーブルのコネクターにはUSBなどと同じく種類があり、ホームシアター用の機器は主にタイプAが用いられています。カメラやPCなどではミニHDMIコネクター(タイプC)が用いられていることがあり、ビデオカメラからレコーダーに転送する場合などは機器に合わせたケーブルや変換コネクターを用意する必要があります。


HDMIコネクター TypeAの例
テレビを含めホームシアター機器ではほとんどTypeAが使用される

HDMIヴァージョン

 前述の通り、HDMIは規格の発展とともにいくつかのヴァージョンが存在しますが、簡単にご紹介します。最初のHDMIヴァージョン1.0が発表されたのが2002年10月。HD画像の伝送を中心に開発されました。その後の映像関連の進化に伴い、HDMI1.4では4K伝送や3Dコンテンツ(2K)がサポートされるようになりました。その後本格的な4K時代を見据え2013年にHDMI2.0が発表されます。伝送帯域は18Gbpsに拡張され、これにより4KHDR 60pをサポート、さらに音声データ伝送も拡張されています。

 2023年4月現在の最新規格となるHDMI2.1が発表されました。伝送帯域は48Gbpsで8K30fps、4K120fpsまで対応しています。また、HDR10+やDolby Visonなど動的にメタデータを送るフォーマットにも対応し、後述のeARCなどの機能もサポートされるようになりました。
 なお、2022年1月にHDMI2.1aが発表されていますが、2023年4月現在対応する民生機(PCやゲーム機については不明です)は存在しないようです。


Ultra High Speed HDMIケーブル認証ステッカーの例
HDMIフォーラムによる認証テストを通過したことを示すステッカー
製品パッケージなどで確認できる

 なお、HDMIケーブル本体にはHDMIフォーラムのルールにより、ヴァージョンの表示はなく、Ultra High Speedなどのグレードで表示されている製品が多く見られます。したがって、HDMIヴァージョンについては購入時にパッケージや諸元表などで確認するなど注意が必要です。4K映像を楽しむ場合のグレードは、プレミアムハイスピード(HDMI2.0相当)、できればウルトラハイスピード(HDMI21.相当)品がお勧めです。

 参考資料としてウィキペディアのHDMI紹介ページもご覧ください

メタルケーブルと光ケーブル

 メタルケーブルはいわゆる電線ですが、HDMI2.1クラスの場合48Gbpsの伝送帯域をメタルケーブルで伝送するのは厳しくなります。ラック内で1m程度をつなぐ場合はまだ良いのですが、プロジェクターまでの数m以上の長さを必要とする場合、光ケーブルを選ぶのことをお勧めします。hDMI2.0以上であれば、5m以下ならメタル、5mを超える場合は光ケーブルという判断で良いかと思います。なお、光ケーブルは両端のコネクター部に光変換回路が組み込まれ、いくつかの製品では外部電源を必要としていますが、多くは機器側HDMI端子からの電源で動作します。また、入力側、出力側が指定されていますので、接続時にはしっかりと表示を確かめましょう。 

認証と準拠

 HDMI2.1(ウルトラハイスピード)などを表記する製品の中には認証バッジを表記するものと、そうでないものが混在しています。認証品はHDMIフォーラム認定テストセンターでテストを行い合格した製品であり、ステッカーで認証品であることを示しています。表示のないものは、いわゆるメーカー独自の基準で判定した、準拠品といえるものになります。しっかりしたメーカーのものであれば準拠品でも大丈夫な場合もありますが、製品選びに迷う場合は認証品表記のものを購入するのが良いでしょう。念のためですが、AMAZONなど通販ではかなり怪しい製品もありますので、まずは信頼できるメーカーのものを選ぶことをお勧めします。なお、オーディオ・ビジュアル専業メーカー以外にパソコン、ゲーム機用などを扱うメーカーからも発売されていますので、これらも選択肢に含めて良いと思います。

 私の使用している環境は、4K放送やUHD Blu-rayディスク、ネット配信なので、プレミアムハイスピード(18Gbps)で伝送規格を満たすことができますが、ウルトラハイスピードHDMIケーブルを試してみたところ、画質がより繊細でコントラスト感も向上したように感じました。その結果、現在は接続ケーブルをすべてウルトラハイスピード認証および準拠品に変えています。もし。これからシステムの構築を計画されているなら、ウルトラハイスピード品から選択されることをお勧めします。

 以下は、私が現在使用中あるいはテストしたHDMI2.1認証・準拠ケーブルです。
 〇inakustik HDMI2.1 光ファイバーケーブル プロジェクター用
 〇エレコム Ultra High Speed ケーブル UHD BDレコーダー → AVアンプ
 〇HORIC  Ultra High Speed ケーブル UHD BDプレーヤー → AVアンプ
 〇Club 3D Ultra High Speed ケーブル テスト済み 予備

上記ケーブルは、私の環境(4K放送、UHD BDなど)で問題なく動作していますが、機器の組み合わせにより相性問題が発生する可能性があります。ご購入はあくまで自己責任にてご判断ください。

ARC、eARC

 ARCはオーディオ・リターン・チャンネルを略した表記です。ディスプレイにテレビを使用しているケースでは、テレビ放送視聴時に内蔵チューナーを使用することも多いかと思います。この場合、テレビの音声をAVアンプや、サウンドバーに送り必要があります。ARC機能を持った機器同士であれば、テレビ音声をAVアンプなどに送ることが可能になります。通常はプレーヤーなどからAVアンプを経由してテレビという信号の流れですが、ARCは音声信号だけを音響機器に戻すように動作します。こうすることで、通常テレビだけで映像と音声を完結させることもできますが、音声をHDMIケーブルでAVアンプなどに戻し、シアターシステムで音を鳴らすことが可能になります。この際ン使用するHDMIケーブルは送受信を1本のケーブルで済ませることができます。
 接続上の注意点は、テレビやAVアンプなどがARC対応であり、かつARC対応端子に接続すること、HDMIケーブルがARC(eARCの場合はすべての機器がeARC)に対応していることが条件になります。

 eARCはエンハンスド・オーディオ・リターン・チャンネルの意味で、ARCの拡張規格です。ARCでは音声の伝送帯域に制限があり、Dolby True HDなどロスレス音声信号の伝送には限界がありましたが、eARCでは、イーサーネットチャンネルを利用することで、伝送帯域を拡張して、より高品位な音声データを送れるようになりました。このeARC機能はHDMI2.1で正式に採用されています。

2023/4/15 HOTEI(松浦正和)

 
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 スピーカー位置の検討についてのご質問では、お部屋の写真を添付いただけると、イメージがつかめます。その際は正面、後方、左右、天井方向の写真とごく簡単で結構ですので、お部屋の縦横高さの寸法をお送りいただけましたら助かります。

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