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ホームシアターのサウンドチューニング第2回 システム接続

ホームシアターのサウンドシステムの接続

 ホームシアターの接続は映像入力の切り替えや、サラウンド再生がポイントになるので、AVアンプ(AVプリ、AVレシーバー)を中心に構築していきます。サウンドシステムがAV アンプのみの場合は、接続はシンプルですが、すでにオーディオのメインシステムがある場合は、AV系統を別スピーカーで構築するか、オーディオシステムをフロント用に使用するかの選択肢が考えられます。前者はAVアンプとを中心としたシステムと同じく、シンプルな組み合わせになります。後者の場合は、AVアンプのプリ出力をメインシステムのプリアンプあるいはプリメインアンプに入力し、そこからオーディオメインスピーカーを利用します。運用にはひと手間必要になりますが、すでにオーディオシステムを構築済みの方には、メインシステムがそのまま使えるので、そのメリットを最大限に活用することができます。また、部屋のサイズなどを考えると、メインスピーカーを音響的に活かせる設置場所は限られるので、この点からもオーディオとビジュアルでメインスピーカーを共有するこの手法は、音質上のメリットを十分に活かせるシステムアップになります。

既存のオーディオシステムを使用した接続

 AVアンプにはプリアンプタイプとパワーアンプを内蔵したレシーバータイプの二種ありますが、いずれもプリ出力端子があり、この中のフロントLch、Rchをオーディオ用アンプに接続します。オーディオ用プリがパススルー端子を備えている場合はパススルー端子に、ない場合はLINEあるいはAUX入力に接続します。パススルーの場合はアンプの電源を切るか、パススルーにセレクトすることで、AVアンプのプリアウトがそのままパワーアンプに流れます。アンプによっては、電源をオフにしてもパススルーが利用できるモデルも存在します。

 アンプのLINE入力に接続する場合は、オーディオアンプ側のボリュウムの設定位置を決めて置き、音量調整はAVアンプ側のボリュウムで行います。設定位置は組み合わせるシステムによって変わってきますが、サラウンドチャンネルなどの音量設定値とバランスをとりやすい位置に設定するようにします。また、AVアンプ側のボリュウム位置が最大に近すぎず、ボリュウム上限に少し余裕をもたせましょう。これは映像作品のタイトルごとの音量設定が意外に幅が大きく、ディスクごとに最適な聴取音量にするため、余裕を持たせておこうということです。調整の段階で各スピーカーの音量バランスの設定を行いますが、もしその時点で設定範囲などに不都合がある場合は、オーディオアンプ側のボリュウム設定位置も見直します。

センター、サラウンド、サブウーファーの接続

 センターおよびサラウンドチェンネルは、AVプリであればチャンネル数に併せてパワーアンプに接続し、各スピーカーをドライブするのが一般的な接続法になると思いますが、サラウンドスピーカーをアクティブタイプ(パワードスピーカー)とするのも選択肢として考えられます。ただ、配線上各スピーカーにコンセントが必要となることは、あらかじめ検討しておく必要があります。

 AVレシーバーの場合は、アンプ内蔵型ですからセンターch、サラウンドchのパワーアウトからスピーカーにダイレクトに接続することができます。なお、センターchもフロントLch、Rchに合わせて別途パワーアンプを組み合わせる場合は、AV アンプのプリアウトからパワーアンプに接続します。

 サブウーファーについては、ほとんどの製品がアクティブタイプですので、AVプリ、レシーバーのいずれでも、ラインケーブルでの接続となります。また、サブウーファーを1台にするか2台使用とするかは、部屋のサイズで考慮しても良いと思います。部屋のサイズに対して音圧、パワーが十分であれば1台使用でも十分に能力を発揮できます。また、サブウーファーは低音チャンネルを受け持ちますが、サラウンドスピーカーの低域部も受け持つことが重要な役割となることがあります。ホームシアターは多くの場合サラウンドスピーカーは壁付けなどのこともあり、比較的コンパクトなタイプを選ぶことになりますので、低域再生能力に限界があります。そこで、サラウンドチャンネルの低域部をサブウーファーに受け持たせることで、低域再生能力をカバーする使用方法をとります。これらの調整法はチューニングのところでお話しさせていただきます。


既存のオーディオシステムを使用した接続例
フロントの2chは既存のオーディオシステムを利用している
ビジュアル使用時はオーディオ用アンプのボリュウムを調整時に
あらかじめ決めておいた位置に設定して使用する

ディスプレイの選択

 ディスプレイは薄型テレビなどの直視型か、プロジェクターを利用したスクリーンかの選択肢がありますが、音響面から考えるとプロジェクターが有利になります。ディスプレイはフロントスピーカーの間に置きますが、直視型の場合スピーカー間に反射面がおかれることで、音質や音場などに少なからず影響がでてしまいます。さらにホームシアターということで、大型ディスプレイを選ばれる方も多いと思われるので、音響面での影響も画面が広い分より大きくなります。

 プロジェクターの場合は、メインスピーカーの間はスクリーンとなり、オーディオ使用時は収納してしまえば、基本的に影響を及ぼす心配はありません。また、スクリーンを音が透過するサウンドスクリーンにとすることで、ビジュアル使用時も音質上の心配はほとんどなくなります。このサウンドスクリーンの場合は、その背後にセンタースピーカーを配置できるという利点もあります。ただ、左右スピーカーの間にセンタースピーカーを置くことで、直視型ディスプレイと同様でオーディオ再生時に音響上の問題を抱えることになります。そこで、センタースピーカーを壁の中に配置して、音響上の懸念を最小限に抑える方法もあります。ただし、これは部屋そのものに改造が必要になりますので、既存のお部屋では難しいところです。今まで設計させていただいた石井式の部屋でも、このパターンはごくわずかとなっています。
 なお、スクリーンにかぶらないよう、低い位置に設置できるセンタースピーカーや、超短焦点プロジェクターなどは、高さが低い分オーディオ再生時に与える影響は小さくなります。


センタースピーカーを壁内に設置した例
左右チャンネルと同じスピーカーを設置
この際、スピーカーはスクリーン背後になるので、
サウンドスクリーンが必須となる

 以上のようにディスプレイの選択には音響上考慮しておく点がいくつかあり、石井式で設計させていただく場合、基本的にプロジェクター+スクリーンという組み合わせをお勧めしています。部屋の都合などでどうしても直視型を選択する場合は、布製のカバーをかけていただくなど、音響面での対策をお願いするようにしています。

2023/3/16 HOTEI(松浦正和)

 
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