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オーディオシステムセッティング第13回:ケーブル

 前回ケーブルの取り回しについてご紹介しましたが、今回はケーブルについて考えてみたいと思います。ケーブルの種類は少し前まではインターコネクト、スピーカーケーブルと電源といったものでしたが、現在はデジタル伝送ケーブルや、ストリーミング配信で必要となるLANケーブルなども含めると、非常に多種多様になっています。これらの中から、クォリティや音質などシステムに最適なものを選ぶのは大変な作業となり、もちろんすべてを試すことは、事実上不可能といえそうです。そこで私の場合は、ちょっとした基準を設けて選択肢を絞り、その中から適当と思えるものを選択するようにしています。

 なおデジタル系、特にストリーミングに用いるLANケーブルなどは、比較的新しい分野で、判断材料や選択肢が少ない状況ですし、私自身基準を決めるところに至っていません。ということで、今後ある程度方向性が定まってきたときにまたお話しできればと思います。

 参考例として以下に私がケーブルを選んだ経緯を紹介させていただきますが、私自身かなり勝手な発想だと思っています。したがって、これが正解というものではありませんし、もっと様々な視点があると思います。オーディオシステム全般に言えることですが、性能が良いことはもちろんですが、音楽の嗜好やそれをどのように再生するかなど、個々人の人それぞれの方向性がありますので、ご自身にあった製品、組み合わせを目指すことが重要だと思います。皆様の部屋、システム環境でそれぞれに最適な組み合わせがあると思いますので、可能な範囲で様々に試して上で選択されることをお勧めします。

ケーブル選びの基準(私見です)

 私が基準にしているポイントは以下になります。
  1.音色が素直で、色付けをあまり感じないもの
  2.帯域が広く感じるもの
  3.極端に太く、取り回しがしにくいものは除外する
  4.各システムを接続する上で、適当な長さのものを選ぶ

 1と2は音に関するものですから、これは実際にいくつかの製品を試した上で選びました。購入したもの、友人に借りたもの、お店にお願いして自宅試聴用にお借りしたものなど、可能な手段を使っていろいろと試した結果、インターコネクトは一部を除きワンメイク状態になっています。音色に個性がないとは言えませんが、個性の主張がごくわずかなこと、ダイナミックレンジ、帯域等も十分で、情報量も申し分なく、かなり長期にわたって使用をつづけています。基本的にスピーカーやシステムの置き方で調整を行う方が、幅広く調整ができると考えていて、逆にケーブルを交換すると調整の基準が変わるので、ケーブルの交換はできれば手を付けたくない部分です。ちなみに現在のケーブルは二芯シールドでプラグの違いだけでバランス、アンバランスの両方に対応しており、一部を除きにバランス接続を基本としています。


インターコネクトケーブルの例
左:アンバランス(RCA)・右:バランス(XLR)

スピーカーケーブル

 スピーカーケーブルを選ぶ条件もインターコネクトとほぼ同じ方法で選んでいます。線材は銅線や銀線、構造では線、単線、さらに絶縁材の違いなどいろいろと試して、それぞれに線材の個性のようなものがあり面白いなと思いました。私の場合は、コンサバに銅のより線キャプタイヤですが、製品のバリエーションが多いのもこのタイプです。これもかなりの数を試しましたが、上記1、2の条件を優先して現在のケーブルに落ち着いています。

電源ケーブル

 最後は電源ケーブルについてです。これも過去にいろいろと試しました。製品を固定するまでに紆余曲折がありましたが、現在はメーカー付属の電源ケーブルに落ち着いています。近年ではメーカーも電源ケーブルの重要性を考慮していますし、開発の段階でも純正ケーブル含めトータルで音づくりしているものと考えられます。特に自分自身の部屋を石井式で造ってからは(電源は電柱までは用意しませんdしたが、専用回路としています)、純正電源ケーブルの自然で滑らかな質感にあらためて気が付いた部分もあります。また、適度な太さで、しなやかなケーブルは取り回しがしやすいのは、私の思う条件に適合しています。唯一、私の環境でちょっと長めになってしまうのは仕方がありませんが、インターコネクトのように、長さに細かくバリエーションが用意されているとありがたいのになと思うときもあります。

ケーブルの太さについて

 ケーブル選びの条件の3で、太く取り回しのしにくいものを除外しているのは、使用上の懸念が少しあるからで、太いケーブルは当然ながら重量が大きいということで、アンプ等のコネクター部分に重量による負荷がかかる恐れがあります。特に近年のアンプのいくつかは入出力コネクターが基板上に直結されたものがあり、筐体だけでなく基盤そのものに不要な力が加わる恐れがあります。これは音質に直結する問題を引き起こしますので、十分なケアが必要です。もし入出力コネクターにストレスを与えるような力がかかっている場合は、ケーブルを支えるなど極力余分な力が加わらないよう、取り回しに工夫されることをお勧めします。

バランス接続とアンバランス接続

 インターコネクトのバランス接続とアンバランス接続のどちらが良いかという質問をいただくことがありますが、これはケースバイケースで使用されているプレーヤー、アンプの組み合わせによって答えが変わってきます。
 メーカーによってはアンバランスのみといったポリシーのものもありますし、バランス、アンバランスのいずれも端子が用意された製品もあります。選択肢があるということは、いずれが良いかは皆さんの環境でお試しいただき、ケースごとに判断されるのが正しいと思います。単純に好ましいという方を選んでも全く問題ありません。ちなみに、長さの問題で考えると体育館のような広さであれば別ですが、個人のお部屋で使う長さであれば、アンバランスでも特に問題が発生することは考えにくいです。

ケーブルを比較試聴するときの注意点

 ケーブル選びでは、比較試聴を行う機会があると思いますが、その際の注意点があります。ケーブルの新旧ともに、コネクターをクリーニングした状態で試聴を行いましょう。対象のケーブルが長期にわたり接続されたまま使用されていたり、新たに用意したケーブルがユーズドの場合、コネクタ接点の劣化の懸念が考えられます。まずはこれら接続部の条件をイーブンにして比較することが大事です。条件によっては、劣化した接点の音を聴いているケースもあり、新しい方がフレッシュに聴こえる可能性が大きくなります。
 接点クリーニングの方法は本シリーズの第5回でクリーニングについてお知らせしておりますので、参考にしてください。もちろん、電源ケーブルにもあてはまりますので、プラグ、コンセント、アンプ側のインレットなど、該当箇所をクリーニングの上試聴テストすることをお勧めます。

アースリード線付きの電源ケーブル

 海外線品や別売り製品の電源ケーブルの多くはアース付きプラグが付属していますが、国内製品の付属電源ケーブルはアースリード線付きの電源プラグであることが多いです。コンセント側のアースターミナルがネジ式の場合は、これで対応可能ですが、オーディオグレードコンセントはいわゆる3Pタイプであることが普通で、アースリード線をつなぐのが難しくなります。そこで、アースリード線の先を変換して3Pコンセントでもアースを取りやすくする工夫を行ってみました。

内容は電源パーツの加工です。あくまで個人の責任で実施してください。もし、知識、技術に自信の無い方はご遠慮ください。万一の事故等については一切の責任を負いません

 変換用ブレードをパナソニックWF7005Kという接地付きプラグから外して流用します。WF7005Kを分解すると、配線用のネジがあり、これを外してアース用ブレードを引き抜きます。少し硬いのでネジ側からマイナスドライバーなどで押し出すと、指を傷めず取り出せます。次に外したアースブレードを電源ケーブルのアースリードにねじ止めします。このままだとネジがむき出しになるので、絶縁とネジのゆるみ止めもかねて熱収縮チューブなどでカバーすると良いでしょう。いくつかの単体プラグを見てみましたが、WF7005Kが一番ブレードを外しやすいので、これをお勧めします。これで、純正ケーブルで3Pコンセントのアース接続が簡単になり、メンテナンスや機器のレイアウト変更も楽になります。


アース用ブレードの流用について
左上:Panasonic WF7005K・左下:分解した様子
右:ネジを外してブレードを引き抜く
WF7005Kの入手はこちら


アース用ブレードの流用について・その2
左上:アースリード付き電源プラグ・左下:取り外したブレードをアースリードにねじ止めする
右:熱収縮チューブで保護、絶縁

2022/12/17 HOTEI(松浦正和)

 
 *本稿でご不明な点、ご質問などございましたら「こちら」までご連絡ください。

 スピーカー位置の検討についてのご質問では、お部屋の写真を添付いただけると、イメージがつかめます。その際は正面、後方、左右、天井方向の写真とごく簡単で結構ですので、お部屋の縦横高さの寸法をお送りいただけましたら助かります。

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