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オーディオシステムセッティング第9回:アナログプレーヤー基本編2

 前回はカートリッジをヘッドシェルに取り付けたところまでお話ししました。今回はその続きです。取り付けが完了したカートリッジをアームに取り付けます。シェル一体型のアームの場合は、アームをプレーヤーに取り付け、アームの配線を取り付けます。まずは、針圧調整から始めます。。

針圧調整

 針圧調整はまずゼロバランスをとるところから始めます。針圧調整中はカートリッジのスタイラスカバーを外した状態となりますので、針先がターンテーブルなどに接触しないよう注意しながら進めます。特にこの後のアームの高さ調整が終わった後の状態では針先とターンテーブルの高さがほぼ同じとなりますので、ターンテーブルとアームレストの間のスペースを使って調整を行うようにしましょう。

ゼロバランス調整の手順は以下の通りです。
 〇スタイラスカバーを外す
 〇インサイドフォースキャンセラーをゼロにする
 〇ダイナミックバランスの場合は針圧ダイアルをゼロに設定する
 〇アームリフターを下げておく
 〇アームをアームレストから外す
 〇カウンターウェイトを回して、アームが水平になるように調整する
 〇水平が確認出来たらアームレストにアームを戻す。
 〇針圧目盛りのリングだけを回して(カウンターウェイトが回らないよう注意)ゼロに合わせる
 〇カートリッジの基準針圧になるようカウンターウェイトを回して目盛りリングの表示を合わせる
 〇ダイナミックバランスの場合は針圧ダイヤルを基準針圧に合わせる

 以上の手順になります。
 針圧リングは自由に動きますので、針圧をかける場合はカウンターウェイト側をもって針圧リングが一緒に回るようにして調整します。SMEなど一部アームでは、ゼロバランス調整後サブウェイトを操作するタイプのもの、アーム側に針圧目盛りそのものがなく針圧計を用いて、針圧を調整するものなど、いくつかのタイプがありますので、それぞれアームの指定方法に従って、針圧調整を行ってください。


スタティックバランス型アームの例
カウンターウェイトを回してゼロバランスをとった後針圧リングをゼロにする
その後、カウンターウェイトを回して針圧リングの目盛りが規定値に合わせる

 カートリッジボディの高さにに合わせ、アームを下げた時にアームリフターがベースと干渉したり、逆に、高さを上げた時にアームリフターを下げた状態でも、針先がレコード盤面に下りきらず、リフターがアームに干渉する場合は、リフターが正しく動作するようにリフターの高さを調整します。

ラテラルバランス調整

 ラテラルバランス調整機構を備えたアームはそれほど多くはありません。これはアームの形状や支点構造により必要な調整となります。ゼロバランスがカートリッジとウェイトの関係を調整するのに対し、ラテラルバランスはアームの左右の重量差を整える調整になります。ゼロバランス調整時はアームが動きがフリーで、ヤジロベーのようにふわふわした状態ですが、この際アームが勝手に内周側や外周側に流れる場合は、ラテラルバランスの調整を行います。これも調整法はアームによって異なりますので、取説をそ確認の上調整を行ってください。ゼロバランス、ラテラルバランスがとれていれば、アームは静止した状態になります。

アームの高さ調整

 針圧調整が完了したら、アームの高さ調整を行います。アームの高さ調整はアームによって方法が異なりますので、取説をよくお読みの上、調整法をご確認ください。また、廉価なプレーヤーではカートリッジ一体型や付属カートリッジ専用の製品もあり、高さ調整機構が存在しない製品もあります。

 〇レコードをターンテーブルに乗せる
 〇針先をレコード盤上にアームリフターを使って下す。
 〇レコードとアームの間隔を横から見て平行状態を確認する
 〇カートリッジ側が低い場合はアームの高さを下げる
 〇ウェイト側が低い場合はアームの高さを上げる
 〇高さ調整時はアームをアームレストに戻した状態で行う
 〇上記を繰り返し、平行が確認出来たら調整は完了です

 この高さ調整にはいくつかポイントがあります。まず調整に使用するレコードは一般的な厚みのものを使用します。70年代後半にい製造されたディスクはオイルショックの影響で薄いものが散見されます。特に輸入盤は薄いものが多いです。逆に近年発売されるいわゆる重量盤は分厚くなっています。ということで、お手持ちの中から比べてみて、ごく普通の厚みのレコードを基準に合わせるのが良いでしょう。

 アームの中にはテーパー型の製品も存在します。SMEなどは水平を見るためのラインが入っていますが、そういった製品ばかりではありません。この場合はヘッドシェルの多くは上面が平らになっっていますので、ここを基準に合わせます。


レコードに針を乗せてアームの高さを確認する
下記の自作ゲージでアームの水平をチェックしている

 高さ調整には調整用の定規も存在しますので、それを使うのも良いと思います。ただ、今まで入手した製品の多くは基準線が細く、老眼の私には確認が非常に厳しいものでしたので、自分で造りました。アクリル製の名刺立てにPCを使ってラインを印刷したものを挟みます。ラインはワードやエクセルの罫線機能でも可能ですし、描画ソフトでもなんでもラインが描けるソフトならなんでもOKです。
 ラインを印刷したのち、名刺立てに挟んで机など平面上に置き、定規で左右の高さが揃うように調整し固定します。ちょっとした工夫ですが、このツールのおかげでアームの高さ調整が非常に判断しやすくなりました。


左が市販のゲージ、右が自作ゲージ
ラインはPCで作ったもの。平面上でラインの左右を定規で測り水平を確認
名刺スタンドは100円ショップで入手したもの

オーバーハング調整

 オーバーハング調整はアームの回転軸と針先の距離を調整することで、針先をレコードの溝に対してできるだけ直角になるよう調整する作業です。もちろんアームは円運動なので、完全に直角になる部分は少なく、わずかに角度ずれが発生しますが、その影響を最も少なくなるように調整を行います。

 多くのプレーヤー(あるいはアーム)には、オーバーハング調整用のテンプレートが付属しますので、それを用いて調整を行います。テンプレートをターンテーブルスピンドルに差し込み、基準となる「点」が一つあるいは二つありますので、そこに針先を載せます。
 この時、テンプレートに描かれた線がカートリッジボディーと一致すればOKです。カートリッジがラインに対して傾きいている場合は、カートリッジ取り付けねじを緩めて、ラインとカートリッジが一致する位置までカートリッジを動かします。針先、テンプレートのライン、カートリッジボディがすべて一致すればオーバーハング調整はOKです。カートリッジ固定ねじを締めて再度調整位置から動いていないことを確認して終了です。

 一般的なヘッドシェルは取り付け用のねじ穴が長くなっており、カートリッジの前後位置が調整可能になっています。例外的にSMEのアームはアームベースが可動式になっていますので、このベース側で調整を行います。

 オーバーハング調整を行うと同時に、カートリッジ正面から見てレコード盤面からきちんと垂直がとれているかを確認します。ヘッドシェル交換式の場合、取り付けチャックで微妙にずれが生じつ場合があり、カートリッジに傾きがある場合はチャックを少し緩め垂直になるよう調整します。


カートリッジを正面から見て傾きがないかをチェックする
レコードに変えて小さな鏡を置き、正面から垂直を確認する方法もある
写真はシェル一体型アームのためカートリッジを正しく固定すれば傾きの心配はない

インサイドフォースキャンセラー

 以上の調整が完了したら、インサイドフォースキャンセラーを針圧と同じ数値になるよう目盛りを回します。インサイドフォースキャンセラーは、演奏中にアームがレコードの回転中心側に引っ張られる現象が起こるので、これを中和するため、内周側に引っ張られる力につりあった力で外側に引っ張ります。アーム各部の調整中はレコードの回転を止めていますので、インサイドフォースが発生しせず、キャンセラーによる外周への力だけが働きます。そこで調整が完了するまではキャンセラーの目盛りをゼロににしておきます。

 このインサイドフォースキャンセラーは多くのモデルではダイアル式が採用されていますが、SMEなど一部のモデルでは、糸の先についたウェイトでキャンセラー動作を行うモデルがあります。この場合、糸を目盛りのついた溝にかけることで、所定の動作を実現していますが、ダイヤル式のように中間値がとりにくい場合があります。この場合は所定の針圧のひとつ下の目盛りを基準として糸をかけるところから始めると良いでしょう。

基本調整が整ったところで、次回はここから1歩進んだ調整についてお話しします。

2022/11/15 HOTEI(松浦正和)


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 スピーカー位置の検討についてのご質問では、お部屋の写真を添付いただけると、イメージがつかめます。その際は正面、後方、左右、天井方向の写真とごく簡単で結構ですので、お部屋の縦横高さの寸法をお送りいただけましたら助かります。

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