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オーディオシステムセッティング第8回:アナログプレーヤー基本編1

 今回からは、アナログプレーヤーのセッティングについてお話を進めていきます。前回までCDなどデジタル音源での調整法を先に進めてきたのは訳がありました。現在アナログプレーヤーをお使いの方でも、CDなどのデジタル音源を併用されている方がほとんどだと思います。デジタルの場合は送り出し側で調整可能なパラメーターは多くなく、スピーカー調整を中心にデジタルプレーヤー、アンプと設置方法で全体のバランスを構築していく必要があります。そこで確定した調整の結果につなげる形で、アナログプレーヤーのバランスを合わせていくという作業が必要になります。幸いアナログプレーヤーは何をやっても音が変わる、といわれるくらい調整パラメーターは多いので、デジタルで整えた状態に、アナログプレーヤーの調整を合わせることで、デジタル、アナログの両立を図っていこうということが目的です。

アナログプレーヤーの基本セッティング

 チューニングの第一歩として、基本的な設置ができているかを確認していきます。これらの情報は取説にもあると思いますが、海外製品などの場合はかなり簡略化された説明の場合もありますので、確認のためにあらためてお話ししたいと思います。お使いの機種によって多少の差はあると思いますが、基本はすべて同じです。

ラックなどの設置場所について

 基本的には可能な限りしっかりとしたラック等に置きます。一般的な床は根太と呼ばれる木材の上に床が張られているか、比較的最近の建築の場合「つか」と呼ばれる床を浮かせる土台の上に床が張られていると思いますので、そういった床強度の高いところを探してラック等を設置するのが良いでしょう。床の強度が高いところを見つけるのは足踏みしてみて、「ドン」という音が響きにくいところが一般的に支えがあり強度が高い箇所です。もちろん探した場所が、部屋を利用する上で不都合な位置では困りますが、そうでない場所でできるだけ強度のある箇所を探してみてください。ちなみに石井式リスニングルームを一階に作る場合は、コンクリート直張りとすることでスピーカーの土台としての性能向上を目指していますが、プレーヤーを支える床としても機能することを狙っています。

 場所が決まれば、次にプレーヤーを載せるラックの天板を水平になるよう調整しましょう。木質系の天板の場合、すべての場所で完全な水平は難しいかもしれませんが、水準器を天板のいくつかの場所に置いて、おおむね水平であることをチェックしましょう。もし部分的に水平が崩れる場所がある場合は、プレーヤーの脚(多くはインシュレーター)で調整します。

プレーヤーの設置

 ラックの天板を水平にできたら、次はプレーヤーを乗せ水平を確認します。多くのプレーヤーはインシュレーター(ゴム足製品もあります)が装備されており、これを回転させることで高さが調整できます。まず、プレーヤーをラックに乗せる前に、通常4つある脚をすべて、締めこんでいき軽く止まったところから半回転戻します。これで脚の高さが揃った状態になります。この状態でプレーヤーをラックに乗せ、ターンテーブルが水平であるかをチェックします。もし、傾きがある場合は低くなっている方向の脚を緩める方向で回転させ、再びチェックして水平になっていれば完了です。

 なお、私が使用しているLP12のようなフローティングタイプのターンテーブルでは、重い水準器を使用すると、ターンテーブルそのものが傾いてしまうので、軽量な水準器を使用するようにしましょう。また、LP12の場合プリンスと呼ばれるキャビネットとターンテーブルの2か所で水平チェックを行います。ショップなどできちんと調整され、プリンスの水平がとれていれば、ターンテーブルも水平になります。もし、この関係が崩れている場合は、ショップなどでメンテナンスを受けるなど対処されることをお勧めします。

水準器の例:縦横を同時に確認できるタイプがお勧め
入手はこちら

 比較的軽量なプレーヤーは上記の方法で調整できますが、世の中には超重力級のプレーヤーも存在します。これらの場合脚の高さ調整は一苦労ですが、その際はスピーカー調整のページで紹介したエアジャッキを利用して、少し持ち上げて調整すると良いでしょう。もちろん、重心を考慮して機材の落下など事故の無いようご注意ください。

 このようにターンテーブルの水平をとることはスムーズに回転させるために重要なポイントです。子供のころ地球ゴマなどで遊んだ方もいらっしゃると思いますが、回転するものは水平あるいは垂直になろうとする、いわゆるジャイロ効果が働きます。ターンテーブルをコマと見立てると、回転中は水平になろうとする力が働きますので、定速で滑らかな回転が大切なターンテーブルを、きちんと水平に調整することはとても重要なチェックポイントです。

さらに正確に水平を確認する方法として、ベアリングボールを使う方法があります。
ボールが止まってしまうので、ターンテーブルシートは外して計測します。
ボール径:11mm、ステンレス製 入手はこちら
この手法は海外Youtube投稿者のビデオを参考にさせていただきました

カートリッジの取り付け

 プレーヤーの設置が完了すれば次は、ヘッドシェルにカートリッジを取り付けます。作業はスタイラスカバーを取り付けたままで行うことで、針にダメージを与えるような事故が起こらないようにします。MM型の多くはスタイラスユニットを外すことができるので、外した状態で作業するのも良いでしょう。また、シェル一体型のトーンアームの場合は、アームを取り外して作業するようにしましょう。

 まず初めにカートリッジにリード線を取り付けます。リード線は通常4色になっています。
   白 = Lchプラス
   赤 = Rchプラス
   青 = Lchアース
   緑 = Rchアース
 カートリッジ本体あるいは取説に接続の指示があるので、それに従ってリード線を取り付けます。取り付けにはピンセットや小さめのラジオペンチなどを使います。
 ヘッドシェル側の配線色は下図をご参照ください。

ヘッドシェルを正面側から見た時の配線位置

 リード線取り付け後、本体にねじ止めします。取り付け用ねじはおそらく長さの違うものがいくつか入っていると思いますので、カートリッジとシェルの組み合わせでどの長さのものを使うか選んで使用します。取り付けの際はリード線に無理な力がかからないよう、注意しながら緒帝の位置に取り付けます。カートリッジには樹脂ボディの製品もありますので、ねじ止めは締め付けすぎることのないよう作業を行います。なお、この後オーバーハング調整がありますので、この時点では仮固定で大丈夫です。

次回に続きます。

2022/11/10 HOTEI(松浦正和)

 
 
 *本稿でご不明な点、ご質問などございましたら「こちら」までご連絡ください。

 スピーカー位置の検討についてのご質問では、お部屋の写真を添付いただけると、イメージがつかめます。その際は正面、後方、左右、天井方向の写真とごく簡単で結構ですので、お部屋の縦横高さの寸法をお送りいただけましたら助かります。

 

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