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オーディオシステムセッティング第6回:アンプなどの調整

 スピーカーのセッティングが進んだところで、今回からアンプやプレーヤーの調整について進めていきたいと思います。前回の最後で接点のクリーニングまでお話ししましたので、アンプの置き方からお伝えしていきます。なお、ここから先の調整は、変化が非常に細かいので、スピーカーの調整が完了していないと、その変化をとらえることができません。もし、調整をこのページからお読みの場合は、少し戻っていただき、スピーカーの調整を行った後に作業を進めてください。

ニュートラル状態から始める

 ここで対象になるのは、プリアンプ、パワーアンプ、デジタルプレーヤーなど、通常オーディオラックに置かれているものが対象です。まず、オーディオラックの天板などが水平になっているかのチェックから始めます。近年のラックの多くはスパイクなどが装備されていることが多いので、スパイクの調整で天板が水平になるよう調整します。これは後にお話しするアナログプレーヤーなどでも大事なポイントになります。2つ以上のラックを利用されている場合は、それぞれが接触しないように設置します。接触してなければ大丈夫ですので、数ミリでも空けておけば良いと思います。また、柱と天板を組み合わせたタイプのラックの場合はねじの締め付けが緩んでいないかも同時にチェックします。ねじによっては締め付け時に破損の恐れがありますので、取扱説明書にある既定の方法で締め付けてください。

 ラックの設置、水平が確保できたら、次は各機器を天板の中央に位置するよう設置します。この際インシュレーターなどを使用している場合は、いったん外して機器を直接ラックに乗せるようにします。すべての機器が各天板の中央に置かれた状態をニュートラルな状態とします。

調整は信号の上流から

 調整は、信号の上位側から行います。今回はデジタルディスクプレーヤー、プリアンプ、パワーアンプの順で行います。アナログプレーヤーはデジタル音源を整えてから行うようにします。これはアナログプレーヤーの方が圧倒的に調整パラメーターが多いので、プリアンプ以降をデジタル音源に合わせたのち、アナログをそれに沿った方向で調整する方が、整合性をとりやすくなるためです。

 調整で使用する音源は、ヴォーカルものがわかりやすいと思います。ごくわずかな歌い方の表情、空気感などを中心に聴きながら、調整を始めます。最初にデジタルプレーヤーを天板上で右、左、前後と少しずつ動かしながら、音楽表現の変化を聞き取ります。違いはほとんど印象の差のような感じですが、違いは出ると思いますので、まずは、「勘」で好ましいと思う場所を探します。聴感上良いと思うプレーヤーの位置が決まれば、次にアンプの置き場所を探ります。デジタルプレーヤーよりは少し変化量に幅があると思います。こちらも良いと思ったとところで、置き場所を決めますが、アンプの調整によりプレーヤーの位置を探しなおすのも有効で、双方の関係で良い場所を探っていくのも良いと思います。

ラック上での位置調整の例
パターンはこの他にいくつも考えられ、またラックや機器によっては変化の具合は異なる

 この作業は、あくまで歌い方や音楽表現といったこまやかな部分ですので、時間をかけてじっくり聴くよりは、直感で進めるようにします。位置による変化の再現性はスピーカーの時ほどシビアではないので、良いと感じたら、その位置をキープしたまましばらく聴き込み、また気になった部分が出てきたら作業を行うといった手順が良いと思います。

HOTEIの設置例
上のプリアンプは左寄りに、真ん中のトランスポートは前寄り、下のDACはさらに前寄りに設置している。中、下段はラックの柱があるために左右は大きく振ることは不可能だが、トランスポートは柱ぎりぎりに左寄せと鳴っている


 なお、デジタルプレーヤーがトランスポート、ネットワークレンダラー、DACといった組み合わせで筐体が2つ以上ある場合は、先で説明した通り信号の上流から動かしていくのが手順になります。この手順でパワーアンプまで位置を合わせていきます。なお、パワーアンプをスピーカーの近くに置いている場合は、壁からの距離を調整することで音楽の表情をコントロールすることができます。

パワーアンプと壁の距離を調整
バイアンプ接続のため、2台のパワーアンプの壁からの距離をメジャーを使用して、正確に揃えていおる。これにより左右での音場のつながりがより自然に感じられるようになった。また左右位置はスピーカーから等距離になるよう調整している

 インシュレーターを使用する場合は、位置調整ののち一つ一つ音を確認しながら使用の適否を決めてください。これも基本は信号の流れで上流から順番に進め、下流の状況により上流に戻って調整を行うなど、全体のバランスをとっていきます。ある程度バランスが整ったら、最後に幅広いソースでのチェックも行いましょう。

 インシュレーターの使用で注意する点は、少ないケースだと思いますが、ひとつの機器に対して、2つ以上のインシュレーターを組み合わせないことです。インシュレーターの多くは使用目的に合わせてそれぞれチューニングされていますから、2つ以上使うことで多くの場合バランスが崩れます。適材適所で対応することが重要です。また、オーディオボードなどを使用する場合は、ボードと棚板の間にインシュレーターや本稿第4回で紹介した木製スペーサーなどを挟む(可能であれば3点支持がお勧めです)ことで、よりボードの効果を発揮できる可能性があります。これは床置きパワーアンプにオーディオボードを使用している場合にも有効です。

まとめ

 調整手順は以上になりますが、最初にお伝えしたように機器一つ一つの変化は非常に小さいですが、信号の流れに沿ってすべての機器の調整を進めることで、その相乗作用により変化がはっきりと感じられるようになります。この変化をもとにさらにスピーカーの調整に立ち戻っての追い込みを行う場合も出てくるかもしれません。音楽を楽しむためにここまで、と思う場面もあるかと思いますが、ご自身の感覚を信じて取り組めば、確実に結果が出ますので、ぜひトライしていただければと思います。

2022/10/13 HOTEI(松浦正和)

 
 
 *本稿でご不明な点、ご質問などございましたら「こちら」までご連絡ください。

 スピーカー位置の検討についてのご質問では、お部屋の写真を添付いただけると、イメージがつかめます。その際は正面、後方、左右、天井方向の写真とごく簡単で結構ですので、お部屋の縦横高さの寸法をお送りいただけましたら助かります。

 

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