オーディオシステムのセッティング第2回:スピーカーセッティング |
スピーカーの位置出し 前回ご紹介した準備が整いスピーカーを設置する方向が決まったところで、今回はいよいよスピーカーの位置出しについて話を進めていきます。基本的な位置出しはスピーカーから再生される帯域バランスを整えることが目的となります。作業は低域、中域、高域の順に進めていきますので、まずは調整用音源として低音が強調され、演奏中常時低音楽器が演奏されている音源を用意します。ジャズフュージョンやポップスなどの音源が向いていると思います。もちろんクラシックでも常に低音楽器が鳴っている音源なら大丈夫ですが、オーケストラの場合、コントラバスが右チャンネル定位している場合が多いので、低音楽器がセンター定位しているポップスなどの方が使いやすい音源といえます。もちろん、調整中は通常のステレオ再生で、トーンコントロールやラウドネスはフラットの位置に、グライコ使用の場合はバイパスにて作業を行います。 中域以上のバランス調整 低域がしっかり再生できる場所が決まったら、その低域と中域のバランスを調整していきます。この作業では、位置とともに内振り角度も調整していきますので、まずは内振り角度について説明します。ここでのソースはすでに低域の量感を引き出せていると思いますので、ヴォーカルなどのソースで、声の質感なども確かめながらのチェックがわかりやすくなります。作業手順ですが、右でも左でも結構ですので、片チャンネルを移動したら、もう片方はそれに合わせた角度、場所に置いてリスニングポイントでチェックを繰り返します。
2.スピーカー音軸をリスニングポイントに 3.スピーカー音軸をリスニングポイントよりさらに内振り |
||
|
1,2,3の内振り角度の大まかな傾向をもとに、ご自身が好ましいと思える内振り角度を付けながら低域と中域以上のバランスを整えていきます。動かす範囲は部屋の広さにも関係してきますが、12畳以上なら7〜8p内外。10畳以下ならおおむね5p以内の前後左右でバランスの良い場所が見つかると思います。この作業は、慣れてくるとスピーカーの付近で聴きながら行えますが、慣れるまでは、「動かす→リスニングポイントでチェック」の繰り返し作業の方が確実なチェックができます。時間と労力が必要になる作業ですが、ここでのバランス調整が最終的な結果を大きく左右しますので、じっくりと取り組んでいただければと思います。 部屋の対してシンメトリに置けない場合 もし、部屋に対してスピーカーをシンメトリに置けない場合は、正面壁からの距離と内振り角度のみを合わせ、左右壁からの距離は、聴こえ方のバランスで位置を決めます。完全に一緒にはなりませんが、聴感上違和感を感じない場所を探しましょう。このようにシンメトリで置けない場合や、家具や設備の条件があり左右壁で反射音の状況が大きく異なる場合は、片側のスピーカーの位置、内振り角度を少し変えて、聴感上部屋全体の響きや大まかな定位に違和感のない角度を探します。これは両方のスピーカーをパッと見た時、内振り角度の違いに気が付かない程度の調整で大丈夫だと思います。見た感じで違和感があると聴感にも影響を与えますので、視覚的に違いがほとんど分からない程度を目標として、あくまで聴感を優先して決めてもよいと思います。 2022/8/30 HOTEI(松浦正和)
スピーカー位置の検討についてのご質問では、お部屋の写真を添付いただけると、イメージがつかめます。その際は正面、後方、左右、天井方向の写真とごく簡単で結構ですので、お部屋の縦横高さの寸法をお送りいただけましたら助かります。 |