< HOTEI'S Note Index

オーディオシステムのセッティング

 オーディオシステムのセッティングは奥が深く、様々な手法があります。ここでは私の経験に基づいた手法を紹介させていただきますが、もちろんこれが正解というものはありません。まだまだ未知の領域は多くありますし、その際私と違った手法が良い場合もあると思います。また、このセッティング手法は石井式リスニングルームだけでなく、一般的なお部屋にも有効な手法です。この記事が皆様のオーディオライフに少しでも参考になれば幸いです。

 セッティングの基本はスピーカーの位置出しで決まる

 オーディオシステムのセッティングの第一歩は、なにをおいてもスピーカーセッティングです。オーディオシステムの最終的な出口であるスピーカーと、部屋の関係は非常に大事なポイントです。部屋のどの位置に置くかによって、スピーカーのポテンシャルをどこまで引き出せるかが決まってくるといっても過言ではありません。ここでは、石井式の研究過程で得られた部屋とスピーカーの関係の分析や、数多くの部屋で経験したスピーカーセッティングの結果をもとに進めていきたいと思います。

 スピーカーの設置場所

 石井式の場合はあらかじめスピーカー設置位置を想定して設計を行います。では、一般的な部屋の場合はどこに置くのが良いのでしょう? まずは外壁に面した壁側に置くのが少しでも有利な設置場所になります。通常のお部屋は1面から2面の壁が外壁に接しているパターンが多く、通常外壁壁は間仕切壁より強度が上で低音をしっかり反射するには、この外壁に接した側にスピーカーの設置場所にするのがベターだといえます。ただ、マンションなどでは外壁に吐き出し窓など、大きなガラス面になっていることが多いと思いますので、その際は躯体壁側に設置する方法がベターだと考えられます。躯体壁の多くは隣家と接している場合が多いので、音量には気を遣うかもしれませんが、あくまで室内音響的観点からみると、しっかりとした壁側にスピーカーを設置するのが良いと思います。このあたり他の家具、部屋のレイアウトなども関連しますので、皆様の生活環境に合わせて設置側を検討してください。

 部屋の長辺、短辺のいずれに設置するか

 私のインスタの写真をご覧いただくと、長辺側にスピーカーを設置している例が多くあります。これは与えられた条件で可能な限り良い伝送特性を得るためにシミュレーションを行った結果、長辺セッティングが有利であるという結果に基づいています。理想寸法比で設計できるケースはかなりレアで、天井高などに制限がある場合がほとんどとなり、条件内で最大限の音響効果を目指した結果、長辺セッティングとなっています。これを既存の部屋にあてはめた場合、六畳間は理想寸法比に近く長辺、短辺いずれでもかなり良い伝送特性が期待できます。八および十畳は一般的には正方形ですので長辺短辺の違いはありません。十二畳は残念ながら短辺は低域伝送特性に問題がありますが、これは長辺側に置くことでかなり良い伝送特性が得られます。下記に伝送特性の参考例を掲載しています。ご参考にしてください。また、四角い部屋限定になりますが、上記以外のお部屋の場合は、本サイトのダウンロードページからシミュレーションソフトをDLの上ご利用ください。

 このセッティングの大まかな違いは、短辺セッティングで音源がスピーカーから奥側に音場を深くとりやすく、長辺では左右前後に音場が広がり、音像はやや近めになる傾向となり、部屋全体で音楽が響くようなセッティングが可能になります。前述のスピーカー設置面の話と合わせると、実際のお部屋では実用上難しいケースもあると思いますが、いろいろ試すことは経験上得られるものが多いと思いますので、ぜひ試していただけたらと思います。

 

 

 

 

 

 六畳間の伝送特性の例では、理想寸法に近いので短辺、長辺ともに良好な伝送特性となっています。グラフでは50〜60Hzあたりから上昇していますが、多くのスピーカーで再生音圧が下がる帯域なので、この部分を部屋の特性で持ち上げることで良い方向に作用しています。

 

 

 

  十二畳で短辺にスピーカーを設置した例では、100Hz以下のレベルが下がり、低域の量感が乏しくなります。またこれにより少しあいまいな低域表現となります。

 

 

 

  十に畳間で長辺にスピーカーを設置した例では、全体域にわたりバランスの良い伝送特性が得られ、低域の量感と明瞭な表現が得られます。私の以前のリスニングルームがこの十二畳で。非常にバランスの良い再生でした。響きの方は現在の石井式に比べると、残念な部分がありますが、一般的な部屋としてはかなり良好な再生であったと思います。

 

  スピーカー位置出し作業の前に

 スピーカーの設置場所がおおむね決まったところで、早速スピーカーのいちだし作業を行いところですが、その前にやっておくことがあります。お部屋の基本的な状態を設定しておくことです。まず、想定されるリスニングポイントに椅子やソファーをおきます。これはスピーカーのセンター位置がずれないように、先にリスニングポイントの基準を決めておくためです。この際、付箋紙などでセンター位置の基準をマーキングしておくのも良い方法です。次に、部屋の整理です。スピーカー置く側の壁、特に左右のコーナーはできるだけ空けておきましょう。スピーカー位置を決める際、いろいろと動かしますので、可能な限り空間を確保しておくことをおすすめします。最後に普段部屋に置かないものは部屋から出しておき、部屋内に収納されるものは、きちんと収納した状態にしましょう。CDのケースなどもきちんと収納しておきます。これは部屋の音響的な基準状態を作ることで、調整前後の違いを極力小さくするためで、また基準を作っておくことで、何らか変化に気が付いたときに原因の特定に役立ちます。

 専用部屋の場合、アンプやプレーヤーなどをリスニングポジションの前に置いてあるパターンをよく目にします。システムの操作には便利な位置であることは間違いありません。ただ、ここにラックを置いた場合と、そうでない場合の伝送特性を確かめたことがありますが、ラックがリスニングポイント前面にある場合は、相当伝送特性が乱れることが判っています。したがって、スピーカーとリスニングポイントの間に物を置かず、床が露出している状態として、ラックは左右壁のどちらかに設置するのがベターと言えます。左右が無理で、ラックをスピーカー間に置く場合は、ミッドレンジユニットより低い位置に設置することをおすすめします。スピーカー間はできる限り「壁」が見えている状態が良いと思います。

 参考までに石井式でお部屋を設計する場合、スピーカーやアンプ、ラックなどオーディオシステムとソファー以外のみの部屋を目指します。石井式は部屋そのもので音響的に完成していますので、何も足さないを基本として、CDやレコードなどのソースも可能な限り部屋外に収納場所を確保するようにしています。リビングオーディオをご希望の場合はあらかじめ家具、収納などを考慮した条件で音響設計を行っていまず。重ねてになりますが、通常の部屋の場合、生活空間としてのスペースがほとんどだと思いますので、このように割り切った条件とするのは難しいと思いますが、あくまで参考としてできるところがあればご対応いただけると良いかと思います。

 さて、上記参考ポイントをもとに準備が整いましたら、次回はいよいよスピーカーの位置出し作業に入ります。

 2022/8/20 HOTEI(松浦正和)


*本稿でご不明な点、ご質問などございましたら「こちら」までご連絡ください。

 スピーカー位置の検討についてのご質問では、お部屋の写真を添付いただけると、イメージがつかめます。その際は正面、後方、左右、天井方向の写真とごく簡単で結構ですので、お部屋の縦横高さの寸法をお送りいただけましたら助かります。

< HOTEI'S Note Index Next>